経理実務ガイド #002社長が経理をやり続けるリスクとは
会社を設立したばかりの頃は、社長自身が経理を担当するケースも少なくありません。
ただし、売上や従業員数が増えてくると、社長が経理を抱え続けることによるリスクも少しずつ大きくなります。
この記事では、社長が経理を担当するメリットと、一定規模を超えた際に発生しやすい課題、見直しの判断基準について整理します。
- 初回掲載日時: 2026.06.26
- 最終更新日時: 2026.08.26
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設立当初は社長経理でも問題ない
会社設立直後は、取引件数も少なく、経費精算もまだ少ないといったケースが多くあります。
まだ件数が少ないため、会計ソフトへの入力、請求書発行といった基本的な作業であれば、社長自身が対応しても十分に回ることがあります。
むしろ創業期は、社長がお金の流れを直接把握する良い機会でもあります。
例えば、売上がいつ入金されるのか、毎月どのような固定費が出ていくのか、といった感覚は、経営判断をするうえで重要です。
経理をすべて外部へ任せる前に、社長自身が一度経理に触れておくことで、資金繰りや利益の見方が身につきやすくなります。
社長経理で一番起こりやすいのは「後回し」
社長が経理を行っていくと、いくつかの課題が生じてきます。その中でも最も起こりやすい問題は、経理作業が後回しになることです。
社長の仕事は、会社の成長段階によって変わりますが、創業期から成長期にかけては、営業や採用、サービス・商品開発など、優先度の高い業務が増えていきます。
経理は重要な業務です。ただ、売上を直接作る業務ではないため、忙しくなると後回しになりやすい領域でもあります。
- 今月分は来月まとめてやろう
- 税理士さんに言われたら整理しよう
- 領収書だけ保管しておけば何とかなるだろう
そう思いながら、最初は1ヶ月遅れていても、そのうち2ヶ月、3ヶ月と遅れていき、気づくと半年分の経理処理が溜まっている…なんてこともあります。経理が遅れると、会社の数字が見えにくくなります。
利益が出ているのか、現金がどのくらい残るのか、数ヶ月後の資金繰りは大丈夫か。こうした判断材料がないまま、会社を運営する状態になります。
これは単なる事務作業の遅れではなく、経営判断の遅れにつながる問題です。
| 経理が遅れたときに起こりやすいこと | 滞ったことによる影響 |
|---|---|
| 月次の利益が分からない | ➡ 事業の状態を判断しにくい。 |
| 預金・現金残高の把握が曖昧になる | ➡ 支払・資金繰りの判断が遅れる。 |
| 消費税の見込みが分からない | ➡ 納税資金の準備が遅れる。場合によっては、納税資金が足りないなどが生じる。 |
| 請求・入金確認が遅れる | ➡ 未回収や請求漏れに気づきにくい。 |
| 領収書や請求書が溜まる | ➡ 後から確認する負担が増える。 |
社長しか分からない状態は会社のリスクになる
もう一つの大きなリスクは、経理業務の属人化です。
銀行口座、クレジットカード、会計ソフト、請求書管理、給与データ、各種クラウドサービスのログイン情報。これらをすべて社長だけが管理している会社は少なくありません。
一見すると、社長がすべて把握しているため管理できているように見えます。ただ、会社の仕組みとして見ると、「社長がいないと経理が止まる状態」になっています。
たとえば社長が急に体調を崩した場合、次のような問題が起こる可能性があります。
経理は重要な業務です。ただ、売上を直接作る業務ではないため、忙しくなると後回しになりやすい領域でもあります。
- 誰も請求書を発行できない
- 支払予定を確認できない
- 給与計算に必要な情報が分からない
- 会計ソフトへログインできない
- 税理士へ必要資料を渡せない
- 入金確認や未回収確認ができない
中小企業では、こうしたリスクが見落とされがちです。
日常業務が回っている間は問題に見えませんが、社長に何かあったときに、会社全体の事務処理が止まってしまう可能性があります。
経理体制を整えるということは、単に入力作業を誰かへ任せることではありません。会社のお金に関する情報を、必要な人が確認できる状態にしておくことでもあります。
- BILLY's 経理ポイント
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社長が経理のすべてを見る状況になってしまう理由の1つに、「従業員に任せられない」が理由になることがあります。
その背景として、「人数が少ないので、経営状況を見せるのには抵抗がある」であったり、「経理や会計まわりに選任の人をおくには金銭的にも無理がある」といったケースが挙げられます。
その為、社長が様々な業務を担うことになるといったケースは多々あります。
BILLY's 経理では、そんな社内には共有出来ない場合でも協力パートナーとして、経理や会計まわりの業務を一緒に作業・管理していくことができます。コストも直接雇用するよりも安く、選任の担当社として携わることが可能です。
お困り事がありましたら、是非お気軽にご相談ください!
経理担当者を採用すればすぐ解決するとは限らない
社長が経理業務を行うことに限界が見えてくると、「経理担当者を採用しよう」と考える時期がきます。
もちろん、社内に経理担当者を置くことは有効な選択肢です。日々の処理を任せられる人がいることで、社長の負担は大きく減ります。請求や支払などを社内で整理できるようになれば、会社としても安定しやすくなります。
ただし、経理担当者を採用すればすべて解決するわけではありません。
採用には、求人コストや面接時間、教育コスト、引継ぎ時間がかかります。また、会社規模によっては、経理業務量がまだ正社員1名分に満たないケースもあります。
たとえば、月の取引件数が数十件から数百件程度の場合、いきなり専任の正社員を採用するより、記帳代行や経理代行を活用することで、必要な業務だけを外部へ出す方が合っていることもあります。
会社の成長段階に応じて、段階的に経理体制を変えていくことが現実的です。
| 会社の状況 | 経理体制の選択肢 |
|---|---|
| 創業直後 | 社長が経理を把握しながら対応 |
| 少し忙しくなってきた | 記帳代行・経理代行を活用 |
| 社内管理業務が増えてきた | パート・時短人材を検討 |
| 従業員数や取引量が増えた | 専任経理担当者を採用 |
| 管理部門を整えたい | 社内経理+外部専門家で分担 |
重要なのは、「社長がやるか」「正社員を採用するか」の二択以外の選択肢も持つことです。
入力だけ外注する。給与計算だけ任せる。請求書管理だけ整える。税理士とのやり取りに必要な資料整理だけ依頼する。こうした部分的な切り出しも、経理体制を整えるうえでは有効です。
判断基準は「社長の時間をどこに使うべきか」
経理を外注するか、社内で対応するかを考えるとき、仕訳数や領収書の枚数だけで判断することがあります。
もちろん業務量も重要です。
ただ、もう一つ考えたいのが、社長の時間をどこに使うべきかという視点です。
たとえば、社長が毎月10時間を経理作業に使っているとします。その10時間を使って、営業活動や提案資料の作成などができるのであれば、会社全体としては経理以外に時間を使った方が良い場合もあります。経理作業そのものが悪いわけではありません。
ただし、会社が成長しているにもかかわらず、社長が夜や休日に領収書を整理し、会計ソフトへ入力し、請求書を確認している状態が続くのであれば、一度体制を見直すタイミングかもしれません。
社長が数字を見ることと、社長が作業を抱えることは別の話です。
- 数字は見続ける
- 作業は分担する
- 必要な情報が見える状態にする
この分け方ができると、経理は社長の負担ではなく、経営判断の材料として使いやすくなります。
経理業務を任せるかの判断ポイント
下記のような内容がいくつか該当し始めたら、そろそろ経理業務を外部に任せるタイミングかもしれません。
- 経理処理が1ヶ月以上遅れている
- 月次の利益をすぐに確認できない
- 消費税の見込みが分からない
- 社長しか会計状況を把握していない
- 領収書や請求書が溜まり始めている
- 経理作業が夜や休日に回っている
- 請求漏れや入金確認漏れが不安になっている
- 税理士から資料提出を催促されることが多い
- 給与計算や支払処理を社長だけで管理している
いくつか当てはまる場合は、すべてを変える必要はありませんが、一部の業務から外部委託や仕組み化を検討してもよい段階です。
- BILLY's 経理ポイント
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BILLY's 経理では、創業期の会社様や、これまで社長自身が経理を管理されてきた会社様からのご相談も承っております。
社長管理の状態からでも、現在の資料の保管方法、会計ソフトの利用状況、請求書や領収書の流れを確認しながら、無理のない形で業務を整理していくことができます。
また、会社が成長して社内に管理担当者ができた場合は、その担当者と連携しながら経理業務を進めることも可能です。さらに将来的に自社で経理担当者を採用する場合には、社内へ引き継ぎやすい形で資料や運用ルールを整えていくこともできます。
まとめ
社長が経理を行うこと自体は、悪いことではありません。
むしろ創業期は、会社のお金の流れを理解するためにも、社長自身が経理に触れておくことには、価値があります。
売上、支払、資金繰り、利益の感覚は、経営者にとって重要な判断材料になります。
ただし、会社が成長しても同じやり方を続けていると、社長が経理担当者の役割まで抱え込んでしまうことがあります。
本来、社長が時間を使うべきなのは、営業や採用、事業づくり、顧客対応など、会社の成長につながる仕事です。
経理を続けるかどうかではなく、社長がどこまで担当し、どこから仕組み化するか。
その視点で考えると、自社に合った経理体制を見直しやすくなります。