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INSIGHT #004小さな会社はいつ経理担当者を置くべきか

会社を設立したばかりの頃は、社長自身が経理を担当するケースも少なくありません。ただし、会社が成長していく中で、経理を社長が抱え続けることには限界があります。この記事では、小さな会社が経理担当者を置くべきタイミングと、採用以外の選択肢について整理します。

  • 2026.07.01
  • 読了目安:7分
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  • 経理体制
  • 給与計算
  • 月次決算

設立直後は社長経理でも問題ない

会社設立直後は、必ずしも経理担当者を置く必要はありません。取引件数が少なく、請求先や支払先も限られている段階であれば、社長自身が経理を見ても十分に回ることがあります。

例えば、社長が請求書を発行し、通帳を確認し、領収書をまとめ、会計事務所へ資料を送る程度であれば、専任担当者を置くほどの業務量にはならない場合もあります。

特に、役員のみの会社、従業員3名以下の会社、毎月の取引件数が少ない会社では、無理に人件費をかけるよりも、外部サービスや会計事務所との連携で対応した方が現実的なこともあります。

経理担当者を置くこと自体が目的ではありません。大切なのは、会社のお金の流れを把握でき、必要な処理が滞りなく進む状態を作ることです。

設立直後に最低限見ておきたい項目

  • 請求書を毎月正しく発行できているか
  • 支払い漏れがないか
  • 領収書や請求書の保管場所が決まっているか
  • 通帳やカード明細を定期的に確認しているか
  • 会計事務所へ資料を送る流れが決まっているか

判断基準は売上よりも「社長の時間」

経理担当者を採用するかどうかを考える際、「売上1億円を超えたら」「従業員10名を超えたら」といった基準が使われることがあります。もちろん目安にはなりますが、実務上はそれだけでは判断できません。

例えば、売上が大きくても、取引先が数社に限られており、請求書の発行件数も少ない会社であれば、経理業務は比較的シンプルです。一方で、売上規模が小さくても、外注先が多い、請求書が多い、経費精算が頻繁にある、従業員が増えている会社では、経理負担が大きくなります。

見るべきポイントは、売上規模そのものよりも、社長が経理にどれだけ時間を使っているかです。社長が本来取り組むべき営業、採用、サービス改善、顧客対応の時間を削って経理をしている場合は、体制を見直すタイミングと考えられます。

売上だけでは判断しにくい理由

会社の状態 経理負担の考え方
売上は大きいが取引先が少ない 請求・入金管理がシンプルな場合は少人数でも対応しやすい
売上は小さいが取引件数が多い 請求書・領収書・支払い確認の手間が増えやすい
従業員が少ない 給与計算や勤怠管理は比較的軽い
従業員が増加中 入退社、給与、経費精算、社内対応が増えやすい
外注先が多い 支払い管理、請求書回収、源泉確認などが複雑になりやすい

危険なのは「後回し経理」が始まる時期

経理担当者を検討すべき分かりやすいサインは、経理が後回しになり始めた時です。会社が成長すると、社長は売上を作る仕事や顧客対応を優先するようになります。その結果、経理は「あとでまとめてやるもの」になりやすくなります。

最初は数日遅れる程度でも、次第に1か月、2か月と処理が遅れていくことがあります。領収書が机に溜まり、通帳を確認せず、売掛金の回収状況も把握できていない状態になると、会社の数字が見えにくくなります。

経理は利益を直接生む仕事ではありませんが、資金管理や利益管理の土台です。ここが崩れると、売上が増えているのに資金繰りが苦しい、利益が出ているか分からない、税金の支払いが読めないといった問題につながります。

後回し経理のサイン

  • 領収書や請求書が未整理のまま溜まっている
  • 通帳やカード明細を定期的に確認していない
  • 売掛金の入金確認が遅れている
  • 請求漏れや支払い漏れが発生している
  • 月次試算表の確認が数か月遅れている
  • 税金や社会保険料の支払額を直前まで把握していない
  • 社長以外が会社のお金の状況を説明できない

採用より先に外部活用を考える方法もある

経理担当者を置くというと、すぐに正社員採用を考える会社もあります。しかし、小規模企業の場合、いきなり正社員を採用することが最適とは限りません。

経理業務は、時期によって業務量に差があります。月末月初は忙しくても、月中は作業量が少ない会社もあります。その場合、正社員1名を採用するよりも、外部委託、パートスタッフ、クラウドサービスの活用を組み合わせた方が、無理なく運用できることがあります。

特に設立数年目の会社では、「記帳だけ外部化する」「給与計算だけ委託する」「請求書発行だけ仕組み化する」といった部分的な見直しでも、社長の負担を大きく減らせる場合があります。

経理体制の選択肢

選択肢 向いているケース 注意点
社長が対応 取引件数が少なく、会社規模が小さい 後回しになると数字の把握が遅れる
外部委託 記帳・給与・請求などを部分的に任せたい 社内で資料を整理する役割は必要
パート採用 月末月初など一定の作業量がある 属人化しないよう業務ルールが必要
正社員採用 日常的に経理業務が発生する 採用コスト・教育・退職リスクも考える
DX化 作業の重複や手入力を減らしたい 導入後の運用ルール作りが必要

経理担当者を置くべきタイミングの目安

経理担当者を置くべきかどうかは、会社ごとに判断が分かれます。ただし、いくつかの項目に当てはまる場合は、経理体制を見直すタイミングと考えられます。

特に重要なのは、「社長が経理作業に追われているか」「月次の数字を見られているか」「請求・支払い・給与のいずれかでミスが起き始めているか」です。これらは、会社の規模が小さくても早めに見直した方がよい項目です。

チェックリスト

  • 社長が毎月数時間以上、経理作業に追われている
  • 月次試算表の確認が数か月遅れている
  • 従業員が10名を超えてきた
  • 給与計算や勤怠確認に手間がかかっている
  • 請求書の発行件数が増えている
  • 売掛金の確認が複雑になっている
  • 支払先や外注先が増えている
  • 資金繰り表を作れていない
  • 請求漏れ・支払い漏れが発生したことがある
  • 社長以外が会社のお金の状況を把握していない

3〜4項目以上当てはまる場合は、経理担当者の採用に限らず、外部委託やDX化も含めて一度体制を見直してもよい時期です。

BILLY's 経理ポイント

経理担当者を採用するかどうかの相談では、「正社員を入れるべきか」「外部に任せるべきか」で悩むケースが多くあります。ただ、実際にはその二択だけで考える必要はありません。

例えば、記帳だけ外部化する、給与計算だけ委託する、月次確認だけ依頼する、クラウド会計や請求書システムを導入して作業を減らすなど、会社の状況に合わせた方法があります。

経理体制を考える時は、まず現在の業務を分解することが大切です。何に時間がかかっているのか、どこでミスが起きやすいのか、どの作業を社長が持っているのかを整理すると、採用が必要なのか、外部委託で足りるのか、システム化で解決できるのかが見えやすくなります。

見直しの進め方

  • 社長が行っている経理業務を書き出す
  • 毎月発生する業務と、年に数回の業務を分ける
  • 請求・支払い・給与・記帳・資料整理に分類する
  • 社内で持つ業務と、外部に任せる業務を分ける
  • 必要に応じて採用・外部委託・DX化を検討する

まとめ

小さな会社が経理担当者を置くべきタイミングは、売上や従業員数だけで決まるものではありません。重要なのは、社長が本来やるべき仕事よりも、経理作業に時間を使い始めているかどうかです。

設立直後や取引件数が少ない段階では、社長経理でも問題ない場合があります。しかし、請求書発行、支払い管理、給与計算、売掛金確認、月次管理が後回しになり始めたら、体制を見直すサインです。

経理担当者を採用する方法もあれば、外部委託、パート採用、クラウドサービスの活用という方法もあります。経理が回らなくなってから考えるのではなく、少し忙しくなってきた段階で見直しておくことで、会社の成長に合わせた無理のないバックオフィスを作りやすくなります。

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